消費者庁「倫理的消費」調査研究会 最終報告に動物への配慮。
2015年度から消費者庁で始まった「『倫理的消費』調査研究会」、その中の議論に動物への配慮が含まれていなかったことを懸念し、私たちアニマルライツセンターとNPO法人動物実験の廃止を求める会、PEACE~いのちの搾取ではなく尊厳を~の3団体で、動物への配慮は倫理的消費には必須であることを訴えてきました。
その結果、株式会社レスポンスアビリティ代表取締役の足立 直樹氏から「今までの議論から動物の権利、アニマルライツという観点が抜け落ちているのではないか」と問題提起がされ、2016年6月の研究会では、日本女子大学の細川幸一教授から動物福祉(アニマルウェルフェア)についての詳細な説明が行われました。その後もファッションジャーナリストの生駒芳子委員からエシカルファッションとしてリアルファー廃止を宣言したアルマーニや動物性素材を使わないステラ・マッカートニーなどの紹介が行われるなど、議論の中に動物への配慮についてが度々登場するようになりました。
そして、福島瑞穂参議院議員にご協力をいただき、2016年10月に来日した英国のエシカル・コンシューマー編集長のロブ・ハリスン氏から、岡村 和美 消費者庁長官に陳情を行い、アニマルウェルフェアの重要性と、エシカル消費の必要性をご説明さていただくなど、理解を広げてきました。
ロブ・ハリスン氏からの要望内容
23 rd September, 2016Extending the idea of ethical consumerism to include attention to animalsDear Ms. Okamura,I’m the founder and director of the Ethical Consumer Research Association in the UK. Ethical Consumer is a UK-based magazine which has been helping consumers to use their buying power to affect social change since 1989. Ethical Consumer provides information to consumers on the ethicalperformance of companies in relation to human and animal rights, environmental sustainability and political activity.It’s been 27 years since it was first published and people’s awareness about ethical consumer behaviour and the corporate social responsibility have been raised in Europe and the UK. Corporations are persuaded to tackle these issues actively as consumers’ awareness is raised. As a result, the situation for animals, the environment and human rights have been improved.The spread of ethical consumerism has been happening not only in Europe. I have been undertakingconsultancy to government departments from Australia to Brazil on encouraging ethical consumption. The promotion of ethical consumption has become a global movement and continues to grow. I’m happy to hear that Japan has started to draw attention to ethical consumerism, not only at a grass roots level but also in government. However, we are interested to see whether or not attention to animal protection will be included in the concept of ethical consumption that is discussed within the Consumer Affairs Agency.There is no doubt that many people would like to make choices that would improve the welfare of animal and to address the impacts of some intensive farming practices.Ethical consumption can play an important role in helping to promote specific measures to improve animals welfare.Sincerely yours,Rob HarrisonFounder and Director
エシカル消費への取り組みを強めることをお約束いただきました。
最終報告に動物への配慮が
2017年4月19日、この研究会の最終報告「「倫理的消費」調査研究会 取りまとめ~あなたの消費が世界の未来を変える~」の中に、動物への配慮について明記されました。(赤字はARCが強調)
抜粋
本研究会では、倫理的消費に当たる具体的な消費行動の例として、「人への配慮」としては障がい者支援につながる商品等の消費が挙げられ、「社会への配慮」としては、フェアトレード商品や寄付付きの商品等の消費が挙げられた。また、「環境への配慮」としては、エコ商品、リサイクル製品、資源保護等に関する認証がある商品等の消費が挙げられた。加えて、多くの委員から、地産地消や被災地産品の消費といった「地域への配慮」、人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑えることによって、動物福祉(アニマル・ウェルフェア)を実現するといった「動物への配慮」の観点が示されたことからも、倫理的消費の範疇の広がりを伺うことができる。さらに、「エシカルファッション」のように、動物由来素材の使用を極力減らすべく配慮するだけではなく、農薬や工場排水などによる環境汚染や児童労働等の問題を排除するため、オーガニックコットンやリサイクル素材等を用いるといった、複合的な要素を持つものもある。
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以上のとおり、一つの名称で言い換えることの難しさを示す結果となったため、人、社会、環境、地域、動物に配慮した様々な消費活動の総称としての「エシカル消費」の認知度向上を目指しつつ、よりイメージの湧きやすい言葉に言い換える必要がある状況下では、その都度、テーマ、対象となる世代等に応じてふさわしい言葉を使い分けることが望ましい。
この調査研究会は2016年度で終了し、今後は各市民および「一般社団法人 日本エシカル推進協議会」へ託されていくこととなりました。
今後、さらにエシカル消費の重要性はあがっていくことでしょう。
それは、地球環境の変化、環境や動物や人を含んだ社会の荒廃だけでなく、人々の意識があがってきたからこそです。そして国際的にSDGsの取り組みが推進されている中、取り組みを行わないことは国としても、企業としても、個人としてもリスクを負うことになります。
私たちアニマルライツセンターも、日本エシカル推進協議会への参加とともに、その他動物分野でのエシカル消費、生産の推進を行っていきます。